輸入車
更新日:2021.03.04 / 掲載日:2019.02.03

アウディ TT ロードスター/気になる中古車【試乗判定】

2017年モデル アウディ TT ロードスター 2.0TFSI

文●竹岡圭、九島辰也、ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2019年3月号の内容です)
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。


一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション! 果たしてその結果やいかに!?

Member Profile

  • 自動車ジャーナリスト【竹岡 圭】
    人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2018-2019 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

  • 自動車ジャーナリスト【九島辰也】
    長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などでも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも各国のクルマを乗り継ぐ。

デザインコンシャスなスポーティクーペ

優れたデザイン、高い性能、最新のハイテクを備える

編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回は、アウディのオープンスポーツカーのTTロードスターが登場です。お借りした車両は、2017年モデルで、グレードは「2.0TFSIクワトロ」、走行距離は1.5万kmとなっています。
九島●真冬にオープンカー、いいね。
竹岡●輸入車は個性的なオープンカーがたくさんあっていいね。SLみたいなラグジュアリー系から、BMWのZ4やボクスターみたいなスポーツカー系だけじゃなくて、4座オープンまで選びたい放題!
編集部●そういった流れでいくと、アウディTTはどういうキャラクターなんでしょうか。
竹岡●クール系(笑)。
九島●既存のブランドから一歩距離を置いたイメージを創りたいのかもね。そもそもTTは、1995年のフランクフルトショーに出品したTTコンセプトというコンセプトカーが世界的に話題になって、1998年にほとんどそのままのデザインで市販化された。そのねらいはまさしく、アウディのイメージ改革だった。
竹岡●TTのおかげでアウディのブランドイメージはずいぶんと変わったんじゃないかな。それまでのアウディって、日本では上品な奥様またはお嬢様向けって感じだったのに、一気に横文字系職業のひとたちが飛びついたじゃない。私にとってはトレンディドラマで某俳優が乗ってた印象が強すぎるんだけど(笑)。
編集部●懐かしい(笑)。その後、2006年に第2世代へとフルモデルチェンジ。そして2015年8月に現行型である第3世代が登場しました。モデルバリエーションは、2ドアクーペとそのオープン版であるロードスターです。
九島●クーペにはさらに高性能版のTTSと、ハイエンドのTTRSが用意されてるんだっけ。
編集部●そうです。クーペは初期型のみ全モデルに2L4気筒ターボ(230馬力)と6速Sトロニックを搭載していたのですが、2016年の改良以降、前輪駆動モデルは1.8L4気筒ターボ(180馬力)になりました。ちなみに、TTSクーペは同じ2L4気筒ターボでも286馬力の高出力版。TTRSは、2.5L5気筒ターボで400馬力、クワトロのみとなります。竹岡●たしか、アウディで初めてフル液晶のデジタルメーターを採用したのが、このTTだったよね。
編集部●「バーチャルコックピット」ですね。12.3インチの液晶モニターにナビ画面を大きく映し出せることも話題になりました。
九島●おかげでダッシュボードがすっきりとしてデザイン的にも洗練された。いまの基準で見ても、このTTの室内がまったく古さを感じさせないのは、この「バーチャルコックピット」のおかげでしょう。
竹岡●TTっていうクルマは、アウディというブランド自体を象徴する存在でもあるっていうことだよね。
九島●まさにそのとおり。ということは、いまアウディは、ハイテクなイメージをユーザーに訴求しようとしているんだろうな。
編集部●ではそろそろ、試乗の方をよろしくお願いします。


九島「アウディというブランドの「いま」を表現したモデル」
竹岡「クールなイメージに相応しい文武両道な万能選手」

DETAIL CHECK

スポーツカーとしての完成度、魅力が大きく高められた第3世代モデル

編集部●感想はいかがですか。
九島●乗った感じは、これまで登場した中古車のなかでいちばんよかったんじゃないかな。屋根を開けても閉めてもフィーリングが変わらないっていうのは大したもんだよ。
竹岡●クルマよかったね。Sトロニックなんだけど、出だしも自然で、加速もパワフルだし。初代TTは見た目はよかったけど、走らせるとどうなっちゃうかわからない危うさがあったじゃない。2代目でだいぶしっかりして、この3代目ではちゃんとスポーツカーの走りになってる。
九島●TTロードスターはクワトロのみなんだっけ。この日本仕様を設定したアウディジャパンは、オープンカー、スポーツカーのことをよく分かってるなぁ。
編集部●お二人とも絶賛ですね。
竹岡●ひとつあるとすれば、2シーターっていうところだよね。ちょっとした荷物を置く場所がほしい。やっぱり911って優秀なんだね。
九島●そう。911が普段使いもできるっていうのは、小さくてもリヤシートがあるから。TTはデートカーというよりも、大人の移動ツールとして使うのが正解かもしれない。
竹岡●中古車相場はどれくらいなの。
編集部●あまりサンプルは多くないのですが、約350万円というところです。特徴的なのが、年式や走行距離による差異があまりないこと。ちなみに先代モデルは250万円あたりが相場になっています。
九島●だとしたら現行モデルは非常に買い得感があるな。だって新車の価格は600万円以上でしょ。
竹岡●クールなテイストがハマるひとにとっては、非常に魅力的なスポーツカー。男女問わずオススメ!

フル液晶メーターの採用によってデザイン性が高まったコックピット

 ハイテクイメージを強調したコックピット。フル液晶のバーチャルコックピットを全車標準装備。さらに、エアコンの操作パネルが吹出し口に組み込まれているなど、すっきりとシンプルなデザインを高度な技術で実現化している。ルックスだけでなく、品質感も高く、ラグジュアリーです。

ボタンひとつで素早くオープン 荷物を置くスペースは不十分

 クーペが小さいながらもリヤシートを備えるのに対して、ロードスターは完全なる2シーター。パーソナルな雰囲気はこちらが上ですが、2名乗車のときにちょっとした手荷物すら置く場所がないのは困りもの。空力設計に優れ、屋根を開けていても空気の巻き込みは最小限。

クーペモデルと比べても十分なスペースが確保されている

 ロードスターのラゲッジスペースは280L。クーペの305Lと比べても遜色ありません。また、ソフトトップを採用したことによって、オープン時とクローズ時で荷室容量に差が出ないのも嬉しいところ。なおトランクリッドには、電動式のリヤスポイラーが全車に装備されています。

ロードスターは全モデル強力な2L直4ターボ+クワトロを搭載

 パワートレインはロードスターが230馬力の2L直4ターボ+6速Sトロニック。クーペは、初期モデルおよびクワトロがロードスターと同じパワートレインを搭載。2016年8月以降は、前輪駆動モデルに燃費性能を高めた180馬力の1.8L直4ターボ+7速Sトロニックを採用しています。

試乗判定レビュー

※各項目に対して10点満点評価。 ※ナンバープレートは、はめ込み合成です。

竹岡 圭

  • 【9点】アウディって先進性と共に、優等生的なゴージャスさを感じさせるブランド。だからこそオープンモデルもいやらしくならないという、特徴を持っているんですよね。その分、セクシーさには若干欠けますが、スポーティさとエレガントさを上手く融合し、クール目に仕上げてあるというところで、男女ともに受け入れられやすいと思います。

  • 【9点】オープンカーに絶対的に必要な装備は、高性能なエアコンとシートヒーター。これはもうバッチリ。さらに幌の開閉スピードがメチャクチャ早く、最後のラッチまで自動と至れり尽くせり。幌のため、開閉による荷室量が変わらないのも高ポイントでした。でもこの走りの性格ならば、2+2だったらさらに言うことないと思っちゃうのは、もはや贅沢?

  • 【10点】ライバルに比べて感動的なポイントは、開閉によって走り味がまったく変わらないこと。開けるとグニャグニャ、閉めるとパキパキという性格になりがちなオープンカーですが、驚くほど変化がないんです。ベースがしっかりしている証拠ですよね。スポーティすぎず、エレガントすぎず上手いところをついた走り味の、万人受けするモデルです。

九島辰也

  • 【9点】初代TTは高級ブランドとしての飛躍を目指したアウディの象徴として登場し、その役割を見事に果たした。そして2代目でスポーツカーとしての完成度を高めたのはご存じのとおり。ではこの3代目は? 答えはずばり、自動運転時代を見据えたハイテクイメージの牽引だ。無駄を省いた先鋭的なデザインは、登場から3年以上経ったいま見ても新鮮。

  • 【9点】3代目TTのハイテクイメージを象徴する「バーチャルコックピット」は、視点移動が少ないというメリットのほかに、ダッシュボードをすっきりとさせる効果ももたらした。結果としてクルマ全体の印象も依然として新鮮味をキープしているのだから素晴らしい。幌の開閉はもちろんボタンひとつで、信号待ちの間に操作が終了するほどスピーディ。

  • 【10点】これまでこの連載企画でたくさんの輸入中古車を試乗してきたが、もしかしたら今回のTTロードスターはベストだったかもしれない。好印象の理由は、オープンでもクローズドでも変わらないハンドリングのよさ、そしてクワトロによる安定感のある走り。パワーも十分で、スポーティに走らせたときにエキゾーストサウンドがドライバーを包む感じも最高だ。

グーワールド 編集部

  • 【9点】新車ではなかなか手の出せない高級オープンカーも、中古車ならば手に入るかも……。そんな夢を見させてくれる試乗でした。取材時点で中古車市場では100台ほどを見つけることができましたが、どれも年式に対して走行距離が少ないのが印象的。やはりセカンドカー的な扱われ方が多かったよう。総じてコンディションよく購入しやすいクルマです。

  • 【10点】アルミを贅沢に使った軽量なボディなど、アウディの技術ショーケース的な役割も担わされているTT。それだけに、TTには充実した標準装備が用意されています。そしてロードスターは上級モデル的なポジションでもあるため、さらに内容は充実。中古車選びの際には、ボディカラーや革シートといった、見た目の好み中心で選んでいただいても十分でしょう。

  • 【10点】スポーツカーという触れ込みではありますが、運転に力やコツはまったく必要なし。また、「ドライブセレクト」を活用すれば、シチュエーションや気分に合わせてクルマの性格を簡単に変えられるのも嬉しいところ。ルーフがファブリックということで騒音を心配する声もあるかもしれませんが、これも心配なし。操作時間も短く、つい屋根を開けたくなります。

アウディ TT ロードスターのモデル主要変遷やスペック情報はこちら

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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